自動車メーカーの利益が様々な経済的・政治的要因によって圧迫され続ける中、TAPTITE PRO®のようなスレッドローリングファスナーは大幅なコスト削減を実現することにより、利益押下げ圧力を軽減することができます。USCAR (米国自動車研協会) が2012年に実施した調査によると、ある自動車メーカーが使用しているファスナーの全数をTAPTITE® ファスナーに変更した場合、年間約8億ドル(最近のインフレで調整すると10億5千万ドル)を節約できることが判明しました。

USCARはその独自の手法による調査段階で、「一般的なパワートレイン(エンジンとトランスミッション)」で使用される機械加工エネルギーの少なくとも30%が穴あけとタッピングの両方で消費されている、ということを発見しました。さらに、TAPTITE PRO®のようなスレッドローリングファスナーに切り替えることで、自動車会社はファスナー1本当たり0.07~0.09ドル(最近のインフレで調整すると0.09~0.12ドル)の締結コスト削減を実現できることがわかりました。

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図7.2は、報告書「鋳造後の鋳抜き穴へのスレッドローリングファスナーの適用による機械加工の排除」(USCARプロジェクト番号:FAS 1005)の中で、TAPTITE PRO®を使用することで製造工程から合計4工程が省かれ、工場のエネルギー消費量の削減と上述のファスナー1本当たり$0.09~$0.12のコスト削減が実現されることを示しています。

この研究で発見されたその他の利点は以下の通りです:

  • めねじへの斜め噛み込みが発生しないので、生産性が向上し、品質が改善され。
  • さらに保証修理リスクが減少します。

  • めねじ成形過程における冷間加工硬化によりめねじの強度が向上します。

  • 切粉が発生しないので、その除去と処理作業が不要になります。

  • 軸断面部のTRILOBULAR®形状が優れた耐振動緩み性能を発揮するので、ロックワッシャーのような緩み防止部品の追加が不要になり、その結果、きしみやがたつきによるクレームのリスクが低減します。
  • 切削液を使用しないので環境への負荷が減少します。

  • ファスナー部品点数の削減が、アルミやマグネシゥム等の軽合金とスティールとの重量差の相対的縮小による企業平均燃費(CAFÉ規制)改善に貢献します。

その報告書は最後に、「要約すると、スレッドローリングファスナーへの変更が完全に実施された場合、穴あけやタッピング用のマシニングセンター、ゲージングステーション、検査やクリーニング用の自動ステーション、ステーション間の材料のハンドリング、マシニングセンター用の切削液・切粉処理と回収システム、空調・照明・作業者の必需品とその保管場所、及びこれら全てに関連する建物設備とそのスペースが不要になるであろう」と述べて研究を締めくくっています。

このUSCARの報告書を確認・ダウンロードするにはここをクリックしてください -> 

TAPTITE PRO®ファスナーのようなスレッドローリングファスナー製品がサプライチェーンにおけるコスト削減を実現するキーであることは以前から業界内で知られていましたが、USCARはその報告書においてそれを定量化することに成功しました。サプライチェーンが常に逼迫し原材料・部品・労働力の価格が上昇し続けている現在、TAPTITE PRO®ファスナーをはじめとするREMINC / CONTI製品はコスト削減と利益向上に役立つ強力なツールとなります。

また同報告書では、マシンねじからTAPTITE PRO®ファスナーのような製品に切り替えることで、コスト削減に加え年間4兆3,200億BTUのエネルギー削減が可能、と結論づけています。TAPTITE PRO®がどのように自動車メーカーのカーボンニュートラル目標の達成をサポートしているかについてはこちらの記事をご参照ください。-> 

コスト削減と省エネルギーの組み合わせは、厳しい経営環境の中で財務目標と環境目標の両方を達成しようとする自動車メーカーにとって完璧なソリューションである、と言っても過言ではないでしょう。

報告書作成チームのプロフィール

「7.3資格とリソース

プロジェクト・ディレクターはウィリアム・シャロンです。彼はフォード・モーター社で34年以上の経験があり、主にパワートレイン分野で多くのエンジニアリング機能を担当してきました。彼は、プログラム立ち上げと先進的な製造システム開発のための機械加工ラインとプロジェクト管理に豊富な経験を持っています。USCARではファスナー開発プロジェクトのリーダーとして貢献しました。工学学士号と経営学修士号を取得しています。

主任研究員はトッド・クリーバーです。フォード・モーターに35年勤務した後、製造開発技術サービス会社であるテック・ナレッジを創業しました。フォードでは鋳造と機械加工を担当し、20年以上にわたり先進エンジニアリング・プロジェクトのマネジメントに携わり、鋳造とファスナーの開発プロジェクトにも特別な経験があります。工学学士号と経営学修士号を取得しています。

テストラボのスーパーバイザーはエイドリアン・コックマンです。エイドリアンはフォード・モーター社で30年にわたりファスナーの開発とアプリケーションを中心に経験を積んできました。彼はこのプロジェクトのすべてのファスナー試験を監督し、データの分析において重要な役割を果たしました。工学学士号を取得しています。

プロジェクトチームは、米国の自動車業界、ファスナー製造業界、鋳造加工会社、業界団体の代表者で構成されました。

プロジェクトチームは、試験計画に記載された作業に必要な鋳造ナットとワッシャーを製造するのに適した12のボスがあるダイカスト金型を利用でき、それらの迅速な調達を可能にするために地元の機械加工会社の十分な生産能力を利用することができました。

すべてのファスナー試験はフォードファスナー研究所で実施されました。この研究所にはRSテクノロジー社のロードセル評価装置・マイクロコントロール社のMC900データ収集システム・幅広いトルクレンジのナットランナーやトランスデューサなど、最新かつ最先端のファスナー試験ハードウェアと計測機器、そして経験豊富なスタッフが揃っています。