新エネルギー自動車やEVを高収益製品として成功裡に導入するためにはコストの低減が不可欠であると言っても過言ではありません。多くの消費者は、新エネルギー自動車やEVから得られる効用と比較して現在の価格は高すぎると考えています。サンフランシスコ近郊のインターステート101号線や280号線ではEVを運転しているいわゆる「初期採用者」をよく見かけますが、実際はEVは新車販売台数全体のごく一部でしかありません。ほとんどのメーカーにとって、これは間違いなく良い状況であると言えるでしょう。なぜなら、消費者価格と製造者利益の両方が魅力的なところまでコスト構造を改善できていないからです。
ヘンリー・フォードが1913年に流れ作業による大量生産方式を導入して以来、自動車産業やその他の産業は、絶え間ない品質改善、生産効率化、コスト削減を追い求めてきました。1950年代後半から1960年代前半にかけてこの努力の大きな推進力となったのが組立の簡素化とコスト削減でした。この時代に生まれたソリューションのひとつが初代TAPTITE®スレッドローリングファスナーでした。このファスナーは、めねじが成形されていない相手材に自らのおねじでめねじを成形するのみならず、引き抜きや振動緩みに強い高品質の締結を実現する、というソリューションを提供しました。
その結果、TAPTITE®スレッドローリングファスナーはフォード社の1964年後期型マスタングや、後にAT&Tの一部となったウェスタン・エレクトリック社の電気通信機器の取り付けに採用されることとなりました。それから半世紀以上が経過した今日、TAPTITE®スレッドローリングファスナーの最新バージョンであるTAPTITE PRO®ファスナーは、アース用及び一般締結用途としてフォード社のグローバルファスナー規格(i)に組み込まれています。またAT&T社においても、信頼性の高い品質を低コストで提供するため、ネットワーク通信施設の締結・アース要件仕様(ii)でTAPTITE®スレッドローリングファスナーを現在も指定しています。
BMW、ダイムラー、プジョー、ルノー、現代、GM、フィアット&クライスラー、吉利汽車、ボルボ、ジャガー・ランドローバーをはじめとする世界の主要な自動車メーカーやその他多くの新興EVメーカーは、TAPTITE®スレッドローリングファスナーを一般締結およびアース用途に使用しています。TAPTITE®スレッドローリングファスナーと POWERLOK®スレッドロッキングファスナーは世界中の様々な産業で毎年数十億本以上も使用されています。
自動車メーカーや主要部品メーカーにとって新興のEV市場が重要であることから、当社は独立した研究機関に依頼して、TAPTITE PRO®スレッドローリングファスナーとPOWERLOK® II™スレッドロッキングファスナーの両方が卓越したアース性能を発揮することを検証してもらいました。
評価試験はA2LA認定の独立試験所であるミシガン州ウォーレンのElement Materials Technology社に依頼しました。試験方法は、SAE/USCAR-26として知られるSAE Internationalの「電気設置の試験手順」の規定に基づき実施されました。
試験手順は、初回電圧降下試験の後、熱衝撃、ランダム振動、温度/湿度、塩霧試験等の環境負荷を与えた後に2回目の電圧降下試験を実施する、というものでした。
合格基準は以下の通りです:
1. 記録される最大電圧降下は1アンペアあたり1mVを超えることはできない。
2. すべてのコンディショニング手順の開始から終了までの電圧降下の変化は、1アンペアあたり0.5mVを超えてはならない。
3. 試料は、技術的または電気的故障につながるような激しい腐食を示してはならない。
4. 試料群は、統計的要件に適合していること。すなわち20 試料が必要であり、複数の試験サイクルが実施されていること。
この試験では、TAPTITE® PRO®スレッドローリングファスナー20本をめねじ成形前の溶接ナットに、POWERLOK®Ⅱ™スレッドロッキングファスナー20本とマシンねじ18本をめねじ成形済みの溶接ナットに使用して性能を比較しました。すべての溶接ナットには自動車に一般的に使用されている電着塗装が施されました。マシンねじのセットアップにおいて2本が損傷したため、結果にはカウントされませんでした。
この試験結果における重要なポイントは、TAPTITE PRO®スレッドローリングファスナーとPOWERLOK® II™スレッドロッキングファスナーの環境負荷による電圧降下平均値がマシンねじの60%以下であり、またその標準偏差もマシンねじと比較して20%以下であった、ということです。このばらつきの少なく低レベルの電圧降下は、あらゆる産業の接地アプリケーションにとって重要です。
これらのファスナーは卓越したアース性能に加えて、締結部品と締結工程の削減によって製品のコストと重量を削減することができるので、利幅の改善や価格設定の柔軟性につながるのみならず、特に輸送用機器分野では航続距離の向上に貢献します。さらに、削減された部品/工程に必要であった製造・出荷・加工・組み立て等に必要なエネルギーの削減も可能になるので二酸化炭素排出量削減にも貢献します。
このようにTAPTITE PRO®ファスナーの価値は非常に分かりやすく提案することができます。そして、POWERLOK® II™スレッドロッキングファスナーも同様の価値を提供します。これらのファスナーは、振動による緩みを防止する為のロックワッシャー・ロックナットなどの物理的ロック機構、あるいは接着剤・グリップ剤などの化学的ロック機能を追加する必要がないためです。
このようにTAPTITE PRO®スレッドローリングファスナーとPOWERLOK® II™ スレッドロッキングファスナーは、どちらも組立工程の合理化、調達の簡素化、高価な追加パーツの排除を可能にします。そしてそれはElement Materials Technology社の評価試験で実証された優れたアース性能に追加される機能である、ということが重要なポイントです。
もしあなたやあなたの同僚が、組み立てが必要な製品、特にアース性能が重要な製品を設計している場合、TAPTITE PRO®スレッドローリングファスナーとPOWERLOK® II™スレッドロッキングファスナーはあなたのデスクトップに定番の選択肢としてセーブしておくことをお勧めします。
Element Materials Technology社の評価試験の報告書全文が必要な場合は、reminc@reminc.net までご連絡ください。
i. フォード世界ファスナー規格 WD 957 2018 12 17.
アース用または一般用ねじとして使用するための高周波焼入れされたねじ先を持つ強度区分9.8のスレッドローリングファスナーの機械的要件および性能要件
ii. AT&TP-TP-76416 第 5.1 号 2015 年 11 月
通信ネットワーク設備の接地および締結要件