スレッドロッキングファスナーは新しいものではなく、以前からすべての産業界で無数の製品に使用されており、組立てられた製品の寿命の最後まで組付け状態を保つことを目指しています。この記事ではまず、現在一般的に使用されている3つのロッキングソリューションについて説明します。各ソリューションには、以下に概説する性能面での妥協があります。
1. 全金属製ロッキングファスナー
- 有効断面積減少による軸力性能低下
- 業界の要件に適合しない破壊モード
- めねじせん断を避ける為、はめあい長さの延長が必要
- 規格外のねじ穴が必要
- ロック作用発生位置が限定されている為、他の位置での使用不可
- 締付け開始時の斜め噛み込みリスク
2. 全金属製ロックナット
- 製品によっては、安定した性能を発揮できない
- 追加の製造工程が必要な為、製品コストが上昇
3. ナイロンパッチと接着剤
- 性能に一貫性がない
- コストがかかる
- 塗布はファスナーメーカーの追加プロセスであり、リードタイムの延長と品質問題発生のリスク有り
- ロック材料とファスナー表面処理剤の相互作用によるロック性能のバラツキ
- 「棚寿命」に注意が必要
- ロック作用発生位置が限定されている為、他の位置での使用不可
このような妥協点は、多くの場合以下の利点を提供するスレッドロッキングファスナーによって解消されます。
- コスト削減
- ナイロンパッチ、接着剤、ロックワッシャー、ロックナットが不要なため、組み立てが簡単
- 高温環境下でも一貫した性能を発揮
POWERLOK®II™ファスナーは、初代POWERLOK®ファスナーの最新バージョンです。この新しい設計により妥協が排除され、一貫性があり、信頼性が高く、再使用可能な以下のパフォーマンスが提供されます。
- 標準のマシンねじと同等のトルク/軸力性能
- ねじ山頂部とめねじ谷部との干渉による優れたアース性能
- 標準のはめあい長さでマシンねじと同等の破壊モード
- 標準の締結プロセスの変更不要
- 6Hグレードのめねじに使用 - 特別なサイズや形状は不要
- 安定した性能
- ナイロンパッチや接着剤とは異なり「棚寿命」問題は皆無
- ロック材料とファスナー表面処理剤の相互作用によるロック性能のバラツキなし

- ロック機能発生位置を考慮して設計する必要はありません。完全ねじ部の全長にわたってロック機能が発生するので、同じ呼び長さのファスナーを複数のアプリケーションに使用することができます。

- POWERLOK®II™ファスナーは本質的に斜め噛み込み防止性能を備えています。斜め噛み込み防止のために、締付け開始時のハンドスタートや部品・製造プロセスを追加する必要はありません。

POWERLOK®II™ファスナーは、締結性能面で妥協する必要が無く、しかも締結コストを削減します。