2020年にカリフォルニア州フレモントでデビューした史上最大の鋳造機「テスラのギガプレス」。 この巨大な装置はテスラのモデルY用アルミニウム製リアボディ全体を1つのピースとして製造することができます。このような鋳造技術の革新は、テスラがアルミニウムを素材として選択していることを強調するものであり、軽量でエネルギー効率の高い未来の輸送車両における軽合金の適用可能性を全体的に強化するものです。
軽合金が自動車メーカーのコスト削減と製造効率の向上に貢献できることを当社ではかなり以前から認識していました。上述のギガプレスの報道に加えて、2012年3月に米国政府が実施した 調査研究をみてみましょう。当時、米国自動車研究協会(USCAR)は、下穴をあけた軽合金ダイ カストにスレッドローリングファスナーをねじ込む大規模な実験を行いました。
この試験は「鋳造したままの鋳抜き穴へのスレッドフォーミングファスナーの適用による機械加工の排除」と題された報告書として公表されたもので、めねじ形成前のスチール製ナットにスレッド フォーミングファスナーを長年にわたって使用してきたのと同様に、それが軽合金ダイカスト部品の組立てコスト削減を可能にするかどうかを判断することを目的としていました。この報告書では、 スレッドフォーミングファスナーの使用が自動車メーカーに大きなコスト削減効果をもたらす、と 結論づけられていました。
USCARのテストでは、鋳抜き穴のある軽合金のダイカストにスレッドフォーミングファスナーをねじ込みました。その結果穴あけ、リーマー、タッピング、ゲージング、冷却、洗浄などの作業が不要になることが確認されました。また、それに伴い組立ライン上に設置されていた高額な機械加工装置やゲージング装置も不要であることもわかりました。これらのテストでは軽合金製部品の締結部の軸力は、マシンねじに対する業界の期待値と同じでした。
スレッドフォーミングファスナーを鋳抜き穴にねじ込むことで、他にもいくつかの良い結果が得られました。
- ファスナー1本あたりの締結コストを0.07~0.09ドル削減
- 不要な機械を動かすために必要であった電気代の大幅な削減
- 穴あけ・タップ加工に必要であった潤滑油や溶剤の洗浄が不要
- 組立ラインの短縮化による機械設備設置面積の削減
- 工場や設備への資本投資の削減
2012年のUSCARレポートでは、この方法が北米で一般的に採用された場合、自動車生産台数が1,600万台、1台あたりのファスナー使用数が500個、ファスナー1個あたりのコスト削減が 平均0.08米ドルと仮定した場合に自動車メーカーの年間純コスト削減額は6億4千万米ドルになる、と結論づけています。2020年の米ドルに換算すると、この数字はさらに大きくなります。 スレッドローリングファスナーはあなたの生産工程のコストと効率をどれだけ改善してくれるでしょうか?
報告書の全文はこちら
United States Council for Automotive Research LLC (USCAR) Project No.: FAS 1005 (https://www.osti.gov/servlets/purl/1039333)
日本語訳 - 米国自動車研究協会(USCAR) プロジェクト番号:FAS 1005 (https://mcusercontent.com/fa4c...日本語訳_USCAR_Project_FAS_1005.pdf)