軽量でエネルギー効率の高い軽合金は将来のクルマのための決定的な材料です。合金鋳造技術における近年の急速な進歩や多くのEVメーカーがアルミニウムを選択材料としていることは、現代の自動車組み立てにおけるアルミニウムの重要性と妥当性を裏付けています。

軽合金が自動車メーカーにもたらすコスト削減の可能性と製造効率を当社ではかねてより認識していました。2012年3月、米国自動車研究評議会(USCAR)は、軽合金ダイカスト部品の鋳抜き穴に直接スレッドローリングファスナーをねじ込む広範囲な試験を実施しました。

USCAR FAS 1005 - 鋳造後の鋳抜き穴へのスレッドローリングファスナーの適用による機械加工の排除」と題されたこの報告書は、スレッドローリングファスナーをめねじのないスチールナットに使用する場合と同様に、軽合金ダイカストへの使用でコスト削減が達成できるかどうかの検証を目的とし、スレッドローリングファスナーは自動車メーカーにとって大幅なコスト削減をもたらす、と結論づけました。

この試験により、スティール製相手材に使用して実証されていたマシンねじと同等の締結性能を犠牲にすることなく、ドリル加工・リーマ加工・タッピング・ゲージング・冷却・洗浄の各工程を省略できることが確認されました。TAPTITE®スレッドローリングファスナーの特長を要約すると以下のようになります:

  • ファスナー1本あたりの総締結コストを0.07~0.09ドル削減
  • 不要となった機械に必要であった電気エネルギーの大幅削減
  • ドリル/タッピング工程に必要であった全ての潤滑液と洗浄液の排除
  • 組立ライン設置面積の縮小
  • 設備投資の削減


    このプロセスが北米自動車業界で広範囲に採用された場合、自動車生産を16百万台、1台あたりのファスナー使用約5百本、ファスナー1本あたり平均0.08ドルの節約、と推定すると自動車メーカーにとっては年間6億4千万ドルのコスト節約になる、と2012年USCARレポートでは結論づけています。現在のドルで計算すると、この数字はさらに高くなります。